或る、ひとつの音

単音

シンプルな響き

反響もせず ひろがってゆく

混ざりあわない音

純粋な 或る ひとつの音

静かな夜の湖のような、響き

青い夜の闇

白夜

月蝕

砂漠の太陽

一滴の水

一粒の砂

ため息

一回の瞬き

歩くために足を上げる一瞬

息を吐こうと息を吸う

何もかも絶望的だという幸福

空を泳ぐ魚

海を飛ぶ鳥

闇に浮かぶ太陽

空に浮かぶ月

他者という、私